200年住宅

■数百年経過して、国重要文化財に指定されている木造建物は、全国にたくさんあ
ります。

しかし、それらは、数百年間、何もしないで経過したわけではありません。

定期に、あるいは不定期に、
修理をして今日の姿を維持しています。

修理と言えば、傷みやすい屋根、外壁、内壁などですが、数百年という期間には主
構造の
基礎や、一部の柱・梁の修理も含みます。



■現在200年経過の建物は
1808年、第11代将軍徳川家斉の江戸時代の建物です。


       


弘前市仲町伝統的建造物群保存地区内に(自宅がありますが)、その頃建てられた岩
田家の武士住宅が改修され、県重要文化財として、一般に公開されています。

木造茅葺き屋根の建物で、電気、ガス、水道などの設備は一切ありません。

今、建てた家を
200年後に見たら、今の岩田家と同じようになるのでしょうか。



今から200年後の遠い未来は、どんな世界が待ち受けているのでしょうか。

原油が枯渇し、全部、原子力発電によるオール電化住宅になっているでしょうか。

そうなら、今からオール電化住宅にしておいた方が、改修費がお得です !

今年建てた家を改修、200年後に県重要文化財として、一般公開されるのか。

それは、私の
7世代後のことなので、分かりません。

お茶の水博士に聞けば、分かるかも ?



■最も古い、日本の鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は100年余前で、まだ200年
経過していませんが、その頃のRC造の建物は、記念品みたいな建物を除けば、今、
一つも残っていません。

それは、
構造的に危険なことや、用途上、使い物にならないからです。

欧州諸国で観光化している町並みの建物が数百年も建っていると言っても、その構
造材料は、腐食することのない
自然石です。

基本的に、腐食しない自然石の建物と、腐食する木材の建物とを同一視したり、そ
れを目標とすることは、適切とは思えません。


日本の
オンリーワン住宅にこだわる住宅観は、欧米諸国の、他人の家を買って住
むという
住み替え住宅観とは異質のものです。

良質な家なら200年近く経過していても住みたい、という思想を育てなければ、需
要は生じません。

需要がなければ、その家は解体される運命にあります。



■住宅の基礎はRC造です。

RC造の耐久年数は、普通で50年、長くても100年くらいだろうと言われています。

すると、家の基礎は、100年経過したら造り直さねばなりません。

土台上げという、上に載っている家全体を一度持ち上げ、基礎を解体・除却して、
新しい基礎を造ってから、家を下ろして、アンカーボルトを締め、上下水道管を接
続し、内外装などを補修します。

そのとき、本当にこの工事をするのでしょうか。

現在も、何らかの事情でこの工事をすることもあるが、数百万かかるので、滅多に
やる工事ではありません。


100年後は、

100年も経ったし、今までに何度も修理したけど、全体的にあちこち傷んでいる
から、
この際、新築しよう!

と、考える方が一般的でしょう。

ちなみに、数百年経過している日本の木造建築の基礎は、人工のRC造と違う、選り
すぐった自然石で造られているので、寿命100年ということはありません。



■木造なら、東大寺や正倉院のように、200年以上大丈夫だから、住宅も大丈夫 ?

テレビのリフォーム番組のように、骨組だけ残して、大リフォームを繰り返してい
けば、可能 ?

骨組だけ残すなら、全部、新築した方が、最新の耐震構造の家に住めるので、安心、
安全です。

その差は、骨組資源だけです。

むしろ、古い家は解体撤去して、解体材をリサイクルする方が良いのでは ?

200年住宅を目指すのは、
思想として理解できますが、現実的問題を十分に検
討した上で法律化しないと、混乱を招きます。


200年前の家を解体し、古民家を再生するのは良いことですが、それは、古民家
に住みたい人が、お金がかかるのは仕方ないということで、建てています。

その論法を「安く、良い家に住みたい。」と、思っている人たちに勧めるのは、適
切ではありません。



■基準法の構造基準は、大地震があるたびに、強化改正されています。

ただし、阪神大震災後の基準強化は、現在、これ以上強化すると工事できない状況
になるので、当面、見送られていますが、目途がたてば強化されるかも知れません。

躯体部分を丈夫につくる、と言っても
今の基準でつくるのでしょう。

200年後まで、今の基準が強化されないのでしょうか ?

構造基準が強化されたら、
既存の建物を補強するのは、法が求める本来の姿では
ありません


新しい基準で、早く新築してくれ!」というのが、法改正の真意でしょう。

補強するより、最新の用途、構造、建材、設備など、総合的に環境も含めた費用対
効果を考えれば、新築した方が、よっぽどマシということもあります。

姉歯事件で、補強した建物もありましたが、本来、新築すべきなのは、言うまでも
ありません。

今後、
構造基準が強化された日以後、全国の、その日以前の建物は皆、既存不適格
建物となり、姉歯事件の建物と同じ立場
になります。



■木材、外装材、内装材、電気、設備などの建材・機器には、必ず安いものから高
いものまでの、ランクがあります。

200年とは言わないまでも、ながもちする家にするなら、高ランクのものばかり使
用すれば、家はながもちします。

そうすれば、
当然、工事費は高くなります



■200年住宅は、とても、とても大きなことなので、簡単に言えるものではないし、
200年住宅の思想は、重要な教訓を有するので、単に反対する筋合いのものでもあ
りません。

しかし、すでに、
200年住宅のキャッチフレーズを先取りし、自社の宣伝に悪用し
ている会社が多々ある
ようです。

あなたは、キャッチフレーズに惑わされることなく、今まで通りに、良い家を建て
るよう、考えていくと良いでしょう。



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