屋根に降った雪の処理方法
雪国の家を建てるとき、最初に何を考えたら良いと思いますか。それは「屋根に降った雪の処理をどうするか。」ということです。
1つは屋根に雪が積もらないようにする考え方と、他の1つは屋根を雪置場とみなして屋根に雪を積もるようにする考え方です。
どちらでも良いが、どちらかに決めないで家の計画を進めると危険です。
例えば屋根の勾配を3/10にする(雪止めがない)と、通常は屋根雪が自然落下する角度ですが、外気温が低いと自然落下せずに屋根に雪が積もり、人が屋根に乗って雪おろしすると、辷り落ちる可能性があります。
中途半端な屋根勾配にせず、いつも必ず雪が落下する急勾配にするか、雪止めをつければ必ず雪が止まる緩勾配にするかのどちらかに決めます。
屋根に雪が積もっていると家が傷むので、積もらないようにしたいなら、降った雪が屋根に積もることなくそのまま辷り落ちるように、急勾配の屋根にすれば良いのです。
しかし、そうすると、地上に降った雪の上にさらに屋根からの大量の雪が積もるので、そのままにしておくと、1階屋根の軒下まで雪が積もったり、窓が塞がれたりするので、雪の降り方にもよるが毎日除雪が必要な時期もあります。
また、屋根雪が全て地上に落下するので、雪を寄せて置くための広い敷地が必要だし、固くて重い雪なので除雪機が必要です。
他方、屋根雪が地上に落下しないよう緩勾配の屋根や無落雪屋根にしますが、それは屋根を雪置き場として利用するためです。
4間(7.28m)×6間(10.92m)=24坪の平屋建ての家の周囲に1間(1.82m)巾の空き地を有する6間×8間=48坪の敷地(建ぺい率50%)で、軒先の出が45cmとすると、屋根の広さは4.5間×6.5間=約29坪になり、屋根面積÷敷地面積=60%になります。
もし、急勾配の屋根にして屋根雪を全部地上に落下させたら1間巾の空き地はすぐ雪で埋まってしまいます。
この屋根雪を屋根上に置いておけば、1間巾の空き地は自然積雪で済むので、通路だけ除雪すれば生活に支障ありません。
どちらの屋根が好ましいのか。
どちらも好ましくないし、もともと屋根雪を安く、安全、万全に処理するための方法がないのです。
十分に打合せした上で造った屋根でも、住んでから雪が多く降れば、建主さんから苦情を言われます。それほど、雪の処理は難しいのです。
もし、全て満足する家にしたいなら、雪の降らない場所に家を建てるしかありません。
雪国で家を建てるときは、誰かがどちらかに決めねばなりません。
それは家を建て、住み、雪処理をする建主さんが決めることです。
さらに聞かれれば、私は屋根を雪置き場にする家をお勧めします。
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