| 設計事務所が思っていること ■ 設計者は良い建主さんに出会えることを期待していますが、 「設計者にとって、良い建主さん」はどういう建主さんでしょうか。 十分な予算を用意して、設計者に自由な設計をさせてくれる建主さんのことです。 でも、そういう建主さんと出会える機会はないでしょう。 そういう建主さんに出会うことができなくても話をよく聞いてくれる建主さん と出会うことができれば最高です。 提案した通りの決定にならなくても、 話をよく聞いていただいた後の建主さんの判断であれば、 設計者がそれに対して異をとなえる必要もないし、するつもりもないでしょう。 いままでの設計経験、その家に限った設計与条件、テーマが複雑に入り混じった 状況から設計しますが、設計提案のとき建主さんの意志、判断が適確であることに 驚かされるときがたくさんあります。 そんなときは設計者として一所懸命にやっても その家づくりにおける建主さんの考えには及ばないと感じます。 それは建築の専門的なことでもないし、つじつまが合っていることでもありません。 自分の家に対する情熱であり、良い欲望です。 そういうとき、建主さんのためにもっとがんばって良い家を提供したくなります。 ■ 設計業務は、借りたマワシで相撲を取るのに似ています。 家の設計をしているが、それは自分の家ではありません。 建主さんから設計監理委託というマワシを借りて腰につけ、 相手と相撲を取るのが設計監理業務です。 そのマワシはきついマワシもあり、適度な締め具合のマワシもありますが、 ゆるいマワシはなさそうです。 建主さんのために、 一回戦は家のデザインに対して設計という相撲を取ります。 二回戦はその後に工務店と監理という相撲を取ります。 この相撲は勝ち負けを決めるためにするわけではありません。 相撲を取ることが重要なのであり、そのプロセス自体が重要です。 とは言っても勝負ごとなので一回戦は勝ちたいですし、 二回戦は引き分けが好ましいでしょう。 ■ 設計監理の仕事をしている中で、他の職業と似たような仕事をしていると 思うときがあります。 一には、家を診断して健康な状態にするお医者さん役をしていると感じたり、 二には、アドバイスしている学校の先生役をしていると感じたり、 三には、生じたトラブルに対処する弁護士役をしていると感じます。 ■ 設計監理業務は最も多くの知識が必要とされる職業のうちの一つです。 デザイン上の建築様式、デザイン手法、建築基準法、消防法だけでない関連法、 家の構造、多くの建材の種類とその適材適所に使用するための知識と経験、 電気、設備に関する知識、工事現場での全工種に関する知識などなど、 家づくりの全てのことを知っていなければなりません。 それらの全てを知っている設計者はいませんが、 知らないことはどこに聞けば知ることができるのか、 忘れたことはどこを見れば思い出すことができるのかを 知っていればいいと思っています。 設計中は建主さんと設計者との二人三脚です。 設計者が提案したものに建主さんが返事をし、それを繰り返すことによって 設計が進められ、そして設計が完了します。 |
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