商品設計図の住宅

■ 家を建てるには、設計施工でも、設計監理でも設計図が必要です。

ただ、その設計図の内容は様々です。

あなたがグラフ用紙に鉛筆で書いた
間取り図も設計図だし、
設計施工の
確認申請に必要な設計図だけというものから、
設計監理の
フル装備の設計図まであります。


設計は
基本設計実施設計の順に区分けしています。

相当回数の打合せの後、
おおよそ、このような家にすると決めた設計図が
基本(設計)図で、
その後、基本図に沿ったさらに詳細な設計図が
実施(設計)図です。

この業務の境目は明確なものでなく、設計者によっても異なります。



■ 地元の工務店と設計事務所は、
建主さんの設計与条件に合わせて新たに基本設計します。

ハウスメーカーは、
自社で想定した設計与条件「檜の家」に合わせて設計してから、
「木の香りがする檜の家」として宣伝、販売しています。

この商品設計図は実施設計と、その後の見積りが終わっています。

さらに1棟目以後はその実績工事費まで把握しています。


設計事務所と地元の工務店は「家をつくる」と言いますが、
ハウスメーカーは「家を販売する」と言います。

確かにレディメイドの商品設計図の家をつくるのが主なので、
商社としては適切な言い方です。


見積り工事費実績工事費は大きな違いがあります。

設計図に基づいて算出した見積り工事費は、図面上で予想したものにすぎません。

従って、工事完了後に工務店が実際に出費した金額を精算してみたら、
当初予定していた利益が減ることも、増えることもあります。


工事完了後に
全工事出費を精算したものが実績工事費ですが、
ハウスメーカーは1棟目の「檜の家」の工事完了後は、
「檜の家」の工事原価を100%の精度で把握しています。

地元工務店とハウスメーカーは、基本設計時に概算見積書を建主さんに提出するが、
両者の見積り精度が違うことが分かります。

地元工務店が過去の実績と基本設計図から予想した概算見積書であるのに対し、
ハウスメーカーは概算見積書とは言うものの、何度も工事をした「檜の家」
の実績工事費なので工事原価をしっかり把握しています。


地元工務店が提出する最終金額を迷っているとき、
ハウスメーカーは迷うことなく提出することができます。

そのときハウスメーカーは「この金額以下ではお受けできません。」と、
きわめて明快な返事が返ってくるでしょう。



■ あなたは「檜の家」の商品設計図を少し変更するでしょうが、
それはハウスメーカーが許す範囲内のオプションなので、
その差し引きをすれば良いので、その大勢に変わりありません。

あなたの変更がハウスメーカーが許す範囲以上になったとき、
ハウスメーカーは工事原価を把握できなくなり、
一つの物件にそんなに手間ヒマをかけていられないので、
その時点で辞退するかも知れません。

それゆえ、あなたがハウスメーカーで家を建てたいときは、
商品設計図から許される少しの変更で満足する必要があります。

商品設計図のとき、あなたは
「大体はこれで良いのだけど、こことここはこうしたい。」
という具合に、部分的な変更を希望します。

以前は変更にそれなりの自由度があったが、
最近は低価格の家ほどその自由度がなくなり、
その範囲内の変更にすることを求められます。


変更が価格に影響しない範囲内であれば良いが、
それを越える変更をすると、そのための設計と工事に手間ヒマがかかるので、
価格が極端に上がることを覚悟しなければなりません。

変更が契約後だと、工事費のトラブルになるので注意しましょう。



■ 商品設計図は変更しなければ、
十分検討した設計なので良くできているはずです。

しかし、あなたが「ここだけは・・・」と設計変更すると、
関連する変更をせずにその部分を変更するだけなので、それだけ設計が崩れます。


完成した設計図は一部を変更すると、それだけの変更で済まず、
他の部分にかなり影響します。

たとえば、一つの部屋の窓の高さを変更すると、その部屋の内観は良くなるが、
外から見る(立面図)と全体の窓の高さとそこだけ合わなくなります。


一つの部屋の窓の位置を横にずらすと、
せっかくバランスをとって配置していた窓がそこだけ片寄り、外観が崩れます。

外壁にデッコミ、ヒッコミが生じる平面変更をすると屋根の形が崩れ、
見るも無惨な家になります。



■ 一つの変更は次から次と連鎖的に変更が必要になり全体に及ぶので、
設計と工事に手間ヒマがかかり工事費も上がるから、
変更に連動して必然的に変更すべき部分を変更しないのが普通です。

完成している設計図を訂正するだけの設計業務に情熱を持てというのも
無理な話でしょう。

これらを防ぐにはどうしたら良いかと言うと、
商品設計図で家を建てるときは変更しないことです。

商品設計図は完成品なのでよくできています。

そのまま建てても壁紙などが違うし、
同じ「檜の家」がすぐ隣りに建つこともないでしょう。

これらについて不満なら、あなたは商品設計図で家づくりするのは不適当です。

あなたの要望に対してハウスメーカーの商品設計図による受注システムが
そのようになっていないから、無理な注文でしょう。



■ 
商品設計図には方位が記入されていません。

どんな敷地にも合う設計をしているように見せるためです。

方位を記入すると、敷地に合わないのがすぐ分かるので売れません。

設計与条件から新たに設計するときは道路、方位、隣地の家などの状況を考慮して
計画するので、必ずそれらを記入します。


商品設計図で居間などの位置から方位を予想して部屋の配置を見ると
不適当な部分があります。

方位を変えてみても不適当な部分があります。

商品設計図は主要な部屋はあらかじめ想定した方位を重視して設計しますが、
その他の部屋は全体の面積を少しでも少なくするために方位を無視した設計を
せざるを得ないからです。


それゆえ、部屋の配置が実に効率的にピッタリ入っています。

全部屋を方位重視の配置に変更してみると、必ず面積が増えます。

商品設計図は少し変更しようとすると、必ず面積が増えます。

契約後に面積が増えると、追加になります。



■ 商品設計図の中から選ぶとき、
方位を重視した考え方で選びます。

居室(きょしつ)の居間、食堂、寝室、個室は方位を無視した配置にすると
大きな禍根を残します。

居室は南、東に面するのが良いし、西に面するのも良いとしても、
北に面するのは避けるべきです。

アトリエなど、それなりの目的を持った特殊な部屋は良いとしても、
一般の居室は健康を害するなど必ず問題が生じます。


あらゆる敷地に適した設計図はあり得ないので、なるべく多くの面で
敷地環境に合うプランを選択します。

方位と道路を記入した自分の敷地図に、
縮尺を合わせて商品設計図の平面図を
切り貼りして、方位上の居室の配置を確認することが重要です。

少しくらい使い勝手の悪そうな平面計画でも、
方位上の居室の配置が良い方を選定した方が正解です。


そうでないと、必ずと言って良いほど、最終決定するときに
部屋の方位上の配置のマズサに気がつきます。

そういうときに
商品設計図で居室の配置を変更することは不可能ですから
「また、最初からやりなおし・・・・」
になります。