家づくりの被害者
家づくりの被害にはどういうものがあるでしょうか。
(1) 見積りが高くて契約できなかったら、設計料を請求された。
(2) 契約後の実施設計・詳細見積りで多額の追加が発生した。
(3) 引き渡し日に多額の追加請求があった。
これらは詐欺ではない家づくりの仕組みの一つですが、あなたには予想外で心当たりがないので、そのように感じるかも知れません。
数少ない被害ではなく、家づくりで必然的に発生する構造的な被害であり、すべての家づくりで毎回発生することなので、何ごともなく済んだ建主さんは一人もいないでしょう。
あなたは被害者と思っても、ハウスメーカー(工務店)は加害者という感覚はなく、当然の請求と思っています。
しかも、これらの請求は裁判も認める正当な請求です。
請求されたとき初めて家づくりの仕組みを説明され、理解し、納得して追加請求の支払いに応じることになります。
「説明されて納得したから追加は払います。しかし、なぜそうなる前に言ってくれなかったのか・・・、聞いて知っていればそうしなかったに!」という無念の気持でいっぱいです。
なぜこうなったのでしょうか。
ハウスメーカー(工務店)が最初に家づくりの仕組みを説明すべきなのに、自社の都合を優先して説明しなかったのです。
そもそも自分に都合の悪いことを自分から説明することはないし、しなかったからと言ってそれを非難できません。
あなたはその説明をされなかったことに不満を感じるとともに、自分が知らなかったことを後悔します。
完成した目の前の家がすべてハウスメーカー(工務店)の所有であり、その追加請求の全額を払わないと家を引き渡してもらえないことも、そのとき知るでしょう。
(1)は契約前で、契約できると錯覚して設計を進めたときに発生しますが、設計完了しているので、請求されれば支払い義務があります。
(2)は契約後の発生ですが、ハウスメーカー(工務店)の契約は、概略の基本図と一式見積りが多い各社独自の見積りなので、プロが見ても契約内容はわからないでしょう。
実施設計で契約すべきなのに、それ以前の基本設計で契約してから実施設計する逆順システムなので、その間に追加工事が発生するのは当然です。
設計・見積り内容が自社だけにわかって、あなたにわからない契約なので、自由に追加できる仕組みになっています。
「あれもこれも入っていませんでしたが、どうしますか。」
「それでは住めないので入れてください。」
「わかりました。・・万円の追加になります。」
(3)は工事中の発生ですが、着工してから変更したり、追加したりすると、追加工事 になります。
「この仕上げを変更して、壁面に本棚をつけて、キッチンセットをこれに変更してください。」
「はい、わかりました。」
引き渡し時に、
「これは追加の請求書です。」
「あら、全部サービスじゃなかったの?」
もともと、こうなってしまうシステムで家づくりするのですから、そうなることを防ぐことはできません。
追加は契約額の10〜20%が一般的と言われていますが、このシステムならあり得る話です。
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