現在の住まい方と反対の選択
■ 家の設計打合せのときのことです。
1 絶対、この方が良い!
2 それは嫌だ!
3 どちらでも良い(分からない)
などの返事がTから返ってきます。
1だけ、2だけのときも決定ですが、1と2が一緒になれば、完全に決定です。
3は、話をしながら決めていきます。
1、2のとき、考えがはっきりしているので、その理由を聞いてみたくなります。
S「なぜ、そう思うのですか ?」
T「それは、今、住んでいるところがそうなってて、嫌だから・・・。」
と言うことで、現在の居住環境に起因しているときが多いですね。
■L(居間)・D(食堂)・K(台所)の関係は、いくつかのパターンがあります。
現在DKが1室のTは、次にDとKを分離したプランを望みます。
現在DKが分離しているTは、次にDKが1室のプランを望みます。
このように、現在のDKブランを否定し、反対の選択としてのDKブランを望むTが
多いです。
しかし、計画していく中で現在のDKブランを改めて検証すると、その良さを再認識
して戻るときもあります。
他のDKプランが良いと思ってそうしてから実際に生活してみると、長年、現在のDK
プランに身体が慣れていたので、それに慣れるまでとまどったりするし、その結果、
もとのDKプランの方が良かったなーと思うこともあります。
現在のDKブランにこれと言って不満があるわけではないが、家を新しくするに当た
り、テレビ・雑誌を見てなんとなく反対のDKブランの方が良く見えるので、そのよ
うにしたいと思うのでしょう。
DKのこの2つのプランは昔からあって、両方とも現在も生き残っているプランです。
もし、DK1室プランが絶対的に良いのであれば、DK分離プランはもう無くなってい
るはずですが、残っています。
両方が残っているということは、それぞれに良さがあるということです。
それゆえ、現在のDKプランが悪く、他のDKプランが良いと簡単に思い、決めつける
ことなく、自分に合う生活スタイルを探して決めることが大切です。
最近、対面式のDKタイプが流行っていますが、これはどちらかのDKプランにすると
言うよりも、もっと積極的に考えた結果です。
DKの間の壁の全部、または壁の一部を解放したDKプランであり、その開放の大きさ
により一見してDK1室プランにも見えるし、DK分離プランにも見えます。
また、LDK全体でみると、LDKの少し片寄った位置にキッチンセットをアイランド
(島)としてセットした、LDK1室プランとも言えるDKプランもあります。
これは、友人が多く、皆でパーテイーもできるようにと積極的に考えた結果です。
このように、自分の生活を見直し、これからどのような生活スタイルにしたいかを
先に考えてから、それに合うDKプランを発想すると良いでしょう。
たとえば、
・家族だけでゆっくり食事・団らんしたい。
・知人が多く、パーティーをしたい。
ちなみに、Kは正方形スペースで流し台、食器棚、冷蔵庫などをL形配置するより、
長方形スぺースで、食器棚、冷蔵庫などを流し台と平行、背面に配置するのが効率
の良い使いやすい配置です。
■水場(トイレ・洗面・脱衣・浴室)のパターンもいろいろあります。
学生の頃、米軍キャンプ近くの米兵用賃貸住宅の室内を見る機会がありました。
トイレを見たとき、びっくりしました。
16帖くらいの広さで全部タイル張りのだだっ広い部屋の中に、洋風バス、シャ
ワー、洋風トイレ、ビデトイレ、洗面器が順序にならんでいて、仕切りは何もあり
ませんでした。
と、いうことは、ここに家族数人が同時に入り、それぞれが自分の用をたすという
ことです。
少し考えを変えれば、それもあり、と思えますが、日本では無理なプランでしょう。
しかし、最近マスコミで紹介される家の中には広さはともかく、これに近いプラン
も見受けられます。
この全1室プランが一方の水場プランとすると、他方は各室独立の水場プランで、
答はこの間にあります。
いずれにしても、水場の各室は連続して配置し、ドアで各室間を通過できるように
すると何かと便利だし、特に高齢者がいる家はそうした方が良いでしょう。
水場の各室の組合せプランは、DKと異なり、現在の生活スタイルを崩したくないた
めか、反対の選択をしないで、今の組合せプラン通りにするのが多いです。
たとえば、洗面・脱衣・浴室を連続させ、トイレだけ別な所にあったりしますが、
裸でトイレまで行くのは好ましくないですね。
このとき、玄関から真っすぐ見通せる位置にトイレのドアがあるのをよく見かけま
すが、面積が0.5帖多くなってもずらすべきでしょう。
また、階段の段板が玄関から見える向きにあると、風呂から出て2階に行くときに
裸で来客と鉢合わせしたり、2階からスカートで降りてくると、来客がスカートの
ぞきの状態にもなるので、反対向きの階段の方が好ましいです。
面積を節約するために、階段の下に天井が斜めになったトイレを置くのは使用する
に支障がないとしても、トイレはけっこう重要なので、階段の下は収納などで有効
利用して、階段下はやめた方が良いですね。
水場の組合せプランが今まで通りであっても、その壁や仕切りのデザインによって
新しい感覚のプランにすることができます。
脱衣と浴室の仕切りを透明のガラスで見通せるようにして、ブランドで視覚的に開
放したり、遮断したりします。
この場合、ガラスは人が滑って転んでぶつかって割れると怪我するので網入りガラ
ス、樹脂系透明板にするとか、何らかの対策は必要でしょう。
■LDの天井を1、2階の吹抜けにするのも、天井高が2.4mで水平天井の今の家、さ
らに低い梁と低い天井のマンションからの反対の選択です。
壁・天井を白・白・白の壁紙にし、家のあらゆる方向に大きい透明ガラスの窓を開
けて明るい家にするのも、今の家の中が暗い印象があったり、一方向からしか採光
できなかつたマンションからの反対の選択です。
そうしたくなるのは理解できますが、反対の選択をするとき、極端に反対の選択を
するのでなく、適度に制御した反対の選択をする方が、失敗が少ない、良い家にな
ります。
明るい部屋と白い部屋
西側の窓と北側の窓
■2階に行く階段の位置は玄関ホールとL(居間)の2つがあります。
階段がホールにある(ホールプラン)のは、家族がLを通らないで2階の個室に出入
りできるプランです。
階段がL(Lプラン)にあるのは、家族が必ずLを通ってから2階の個室に出入りする
プランで、Lが吹抜けになることが多いです。
現在、子供が小さいホールプランのTは、子供の出入りが分からないし、家族対話
を多くしたいと言うことでLプランを希望します。
現在、子供が大きくなったLプランのTは、家族間が緊密すぎるので、少しゆるや
かにしたいと言うことでホールプランを希望します。
これも反対の選択ですが、子供の年齢によって違うので、経年の選択と言えます。
階段の変更は大変なことなので、家族のライフサイクルを考慮し、熟考して階段の
位置を決めましょう。
ところで、Lプランの階段はLの吹抜けの一方の壁に取付けるときが多いですね。
これで気になるのが階段ゴミのことです。
階段の水平部分を踏板(ふみいた)、縦の部分を蹴込板(けこみいた)とも言いますが、
踏板だけあって蹴込板がなく、階段を通して向こうが見える、しかも手すりがピッ
チの荒い手摺パイプ状のシンプル階段を雑誌などでよく見かけます。
あまりにシンプルで落下しやすいと心配するものや廻り階段も、このタイプが多い。
階段の踏板も床と同じで、黙っていてもゴミが溜まります。
我が家の階段はホールプランですが、3にゃんこがいて、階段の登り降りのときの
踏板上の落毛を見るたびにその多さに驚きます。
階段は使用回数が多く、その度にスリッパの底のゴミも2階廊下からのゴミも階段
から順序に落ちてきます。
そのゴミは蹴込板や竪壁状の手すりがないと、天井近い高さの踏板から1階のLで
家族が団らんしたり、食事しているところにフワフワと落下しています。
私はこれが気になるので、カッコの良い今はやりのシンプル階段を設計できないで
います。
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